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東京高等裁判所 昭和47年(行コ)70号 判決 1974年5月29日

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は、参加人らの負担とする。

事実

参加人訴訟代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人らの請求を棄却する。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人ら訴訟代理人は、控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張及び証拠関係は、被控訴人ら訴訟代理人において、当審における被控訴人鈴木元夫に対する本人尋問の結果を援用し、丙第五号証ないし第八号証の成立は不知と述べ、参加人訴訟代理人において、丙第五号証ないし第八号証を提出し、当審証人小室宗三の証言を援用したほか、原判決の事実摘示と同一であるので、これを引用する。

理由

当裁判所は、被控訴人らの本訴請求を正当であると判断する。その理由は、原判決の理由の一部を左のとおり訂正するほか、これと同一であるので、右理由を引用する。

一、原判決一〇枚目裏一〇行目から一一枚目表五行目までの「子企業」を「労働者派遣企業」と、「親企業」を「労働者受入企業」と訂正する。

二、原判決一一枚目表六行目から一二枚目表八行目までを「(もつとも、いわゆる「社外工」と労働者受入企業との関係が常に労組法第七条にいう「労働者」と「使用者」にあたるというのではなく、両者間の事実上の支配従属関係が説示のような場合―いいかえれば、同条による規制をしなければ労組法第一条一項の目的を実現することが困難と考えられるような事実上の支配従属関係が存在する場合に限るのであつて、両者間の関係が右の程度に至つていない場合には労組法第七条にいう「労働者」「使用者」にはあたらない。すなわち、事実上の雇傭関係に準ずるような支配従属関係であつて、具体的に個々の場合毎に検討評価しなければならない)」と訂正する。

三、原判決一九枚目表二行目「労組法上」の前に「両者の関係が民法上の雇傭契約でなく、また、就業規則の適用がなくとも」を、同五行目末尾に「(本件における参加人と被控訴人三名との間に労組法第七条にいう「使用者」「労働者」の関係があるというだけであつて、同条にいう不当労働行為の成否に関しても通常の雇傭関係の場合と全く同一に解すべしというのではない。それは、両者間の関係の実態を克明に検討して「不当性」を判断すべきであるが、少くとも、右両者を同条にいう「使用者」「労働者」にあたらないとして、本件救済申立に対しいわゆる玄関払いをするのは誤つていると考えるのである。更に、労組法第七条にいう「使用者」「労働者」にあたるからといつて、その他の労働関係法規上もすべて「使用者」「労働者」にあたるというのではなく、それはそれぞれの法規の目的・立法趣旨を吟味して別個に定むべき問題である。)」を加える。

よつて、原判決は相当であるので、本件控訴を棄却すべく、控訴費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第九四条、第八九条に従い、主文のとおり判決する。

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